2022,September-December / cover,graphics
小田桐まと様のFGO同人誌「ネゼル・シュロモーの箱庭 My Secret Garden」
表紙/ブックカバー/ブックケースデザイン・装丁を担当いたしました。
小田桐様から「特殊装丁の本を作りたい」とご相談をいただき、表紙などの表周りをすべて担当いたしました。
デザインのイメージはそれぞれ、
ブックケース:宝石箱
ブックカバー:魔術書(あるいは物語の本)
で仕上げています。
モチーフとしてご指定をいただいたのは「シクラメン」と「宝石箱」
その他はキャラクター性やお話の印象からデザイン、使用する紙の組み合わせなどをご提案いたしました。
宝石箱は思い浮かべていらっしゃる印象の参考画像を頂戴し、それを元にブックケースとブックカバーの色やデザインのご提案を差し上げております。
ブックケースの用紙は「メタルペーパーシルバー」を使用。
縁や模様などを金箔押しのような印象に仕上げるため、赤みのある金色の発色になるよう調整しました。
また、デザインデータを参照するとわかりますが、
箱を開けた後の側面にも少し仕掛けを入れています。
宝石箱のイメージからベルベット素材をイメージした赤にしているほか、
セリフなどを入れ込んで、ブックケースのみでも、作品と合わせて楽しめる仕掛けをご提案をいたしました。
ブックカバーは小田桐様たっての希望で「パチカ」を使用し、コスモテック様へ加熱型押しと箔押しをご依頼することになりました。
こちらをメインに他の要素を調整しています。
同様の作品はコスモテック直売所にある特殊紙パチカ製 『月読時計』で、どの程度まで加工が可能なのか実物を確認して、デザイン・調整を行っております。
コスモテック様には小田桐様へご提案した初稿を確認・実現可能であるかどうかなどのご判断もいただき、今回このような全面加熱型押し+箔押しという非常に豪華な仕様を実現していただきました。
広範囲の加工のため、
金属版は加熱型押し分で2版、箔押し分で2版の合計4版
を作っていただいております。
また、コスモテック様には、本件の校正立ち会いに伺わせていただきました。
たくさんのご提案を頂戴したほか、ほかの箔を試させていただいたり、
実際に箔押しを行っている作業を拝見させていただいたりするなど、
非常に心が躍る「大人の社会科見学」でした。
そして立ち会いですっかり語彙を失ったあと、
以前から気になっていた『紙と箔完全お任せ名刺作成!』をご依頼しました。
コスモテック様に制作をご依頼した雛瀬の名刺に関する記事はこちら
実は……
2012年にコスモテックの青木様が、『東京TDC賞 2012』に入選した「有限会社コスモテック 箔押し見本シート 『dots & lines』(A4サイズ)」を先着でプレゼントされておりました。
学生であった当時、
箔押しでこんな繊細なものが作れるのか
と衝撃を受け、申し込み開始すぐに「ください!!!!!」とメールをお送りしていました。
そうして手元に届いた『dots & lines』を見て
「稼げるようになったら、制作を依頼したい」
と思っていたのです。
そして、気がつけば10年ほど経っていました。
今回思わぬ方面からありがたいお声がけをいただき、
特殊加工用のデータ制作など知識・技術を得た今であれば、
当時やりたいと思った以上のことができる!
とご提案し、実現していただきました。
また、コスモテック様の校正立ち会いで頂戴した校正見本があまりに素晴らしいもので、眺めるだけでも非常に美しい仕上がりのため
「当日のスペースに校正見本を額装して置いてはどうか」
と小田桐様にご提案させていただきました。
イベント当日、お立ち寄り、ご覧いただいた皆様ありがとうございました。
『デザインのひきだし48』掲載
大変光栄なことにコスモテック様からのご推薦で、グラフィック社様の2023年2月新刊『デザインのひきだし48』に、本作を掲載いただきました。
『コスモテックが手掛けたOKフロートとパチカの世界』にて、ご紹介いただいております。
普段から参考にさせていただいている書籍にまさか掲載いただくことになるとは思わず、ご連絡をいただいた際には脳内に宇宙が広がっていました。現実でした。
『デザインのひきだし48』は、紙の特集をしている回で別冊付録が2冊という豪華な仕様は言わずもがな、「あるようでなかった」新しい紙、いままで知らなかった紙、名前だけは知っているけど使ったことがない・手に取ったことがない紙など、様々な情報・作品が掲載されています。
ご興味がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。